設立2周年記念オンラインシンポジウムを開催しました。

 コロナ禍でリアルのイベント開催が難しい中、関係者のご協力の下昨日、2020年6月27日(土)に設立2周年を記念したオンラインシンポジウムを無事に実施することができました。朝早くから90名近くの方にお集まり頂き、またポートランドからも金曜日の夕食時間帯にも関わらずパネラーとして参加頂いた黒崎様、柳澤様、幸本様、本当にありがとうございました。そして世田谷からは保坂区長にもゲスト参加いただき、東京農業大学の福岡准教授にもパネラーとしてご参加いただきました。改めて、皆様のご協力、そしてプレゼン資料のご準備等、ありがとうございました。予定していた2時間を30分も超過してしまいましたが、オンラインのため、区外、都外からもたくさんの方に参加いただき、本当に有意義な時間が過ごせたかと存じます。

 シンポジウム冒頭で、当協会の準備委委員会の立ち上げから会長職として会の太い幹を担って頂き、この度の総会で会長職を退任され、新たに顧問に就任頂いた涌井前会長からご挨拶頂きました。涌井顧問からはこのコロナを前向きな「Transformative Change」創出のチャンスと捉え、当協会が発足から話してきたこからの生活の豊かさ、働き方を考える重要性が高まってきているとのお話を頂きました。特に国土交通省の方もこのコロナで飲食店の沿道活用に関して今までとは違うスピード感で色々と変わってきていると、身を以って体感されているとのことでした。またこれは今までオフィス空間を提供することに邁進してきたデベロッパーにも大きな変革を促すことになると示唆いただきました。

国土交通省:沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用の取扱いについて

冒頭のご挨拶を頂いた涌井顧問(前会長)

涌井顧問のご挨拶の後、事務局長として小職の方から2019年の活動報告、また決議した議案の概要を発表させて頂きました。特に第一号議案である気候非常事態宣言に関しては、ここ数ヶ月運営員会で議論を重ねてきたもので、晴れて発表できたこと、嬉しく思います。運営員の大坪様、ご尽力ありがとうございました。

PSACE気候非常事態宣言

オンラインシンポジウムではこの度、副会長職から会長職に就任いただいた小林新会長の司会で、ポートランドチームからの事例紹介、そして福岡先生からの南町田や世田谷区の事例のご紹介を頂きました。

司会を務めて頂いた小林新会長

 黒崎様、柳澤様からはポートランドのグリーンインフラとしてグリーンウェイズ、スローストリートのお話を頂きました。ポートランド市内を流れるウィラメット川を囲む形で両側にサイクリング、ウォーキングができる遊歩道が整備されていて市民がこのコロナ禍でもストレス解消のために重宝されているとのことです。ただこれらの整備はデベロッパー・地権者にかなり負担を強いるもので、その整備負担の重さに耐えられず倒産してしまう会社もあったほどだそうです。ですが一貫した行政の姿勢「開発するならば市民の緑道をどれだけ確保しなければならない」、「〇〇をするなら植木を何本植えなければいけない、そしてその管理責任は貴方です」と言ったその地域住民や企業への強い指導の下、成り立っているとのことが日本とかなり違うと感じました。

オンラインシンポジウムの様子
黒崎様、柳澤様から発表頂いた資料(一部)

 ポートランドのランドスケープデザインファームで有名なPLACEに務められている幸本様からはより専門的にSouth Waterfront Green Way についてその開発プランなどのご説明を頂きました。その開発ではグリーンインフラを人間と、川に住む魚や自然の生態系の緩衝帯として捉え、また雨水浸透などしっかり検討され設計されているご説明をいただきました。また柳澤様からもお話のあったスローストリート、Safe Streetとして実際にPLACEさんが携わっているAlberta Streetの事例をご説明いただきました。こちらもデザインファームはプロボノとしての参加で、収益は見込めないのですが、このプロセスを体系的に学ぶことが今後のデザインに活かせるとのことで、積極的に参加されているとのことでした。今後このSafe Streetの事例はPBOTのサイトでもオープンソースとして公開されるそうなので、日本での沿道飲食の道路専用に活かせる事例、ノウハウになるのではないかと思います。(この取り組みも現時点では時限立法とのことです)

保坂世田谷区長のお話ではまだこの沿道飲食について具体的に世田谷区での動きはないそうですが、ぜひ色々な取り組みを期待したいとのことでした。

詳しくはPBOTのサイトをフォローください。

 日本側の事例として福岡先生から南町田グランベリーパークの再開発事例などをご説明いただきました。いままで商業施設と公園を分断していた水道道路を取り除き一体としたグリーン環境としたことで、地域の憩いの場としてその価値が高まっているとのことでした。特にコロナ禍で商業施設は閉鎖していても公園は開いていたので、コロナ前にオープンできたことがとても良かったと行政の方もおっしゃっているとのことでした。他にも世田谷区の上用賀地区の屋外公共空間について東京農業大学の学生と、世田谷区の都市デザイン課が協力して行なった実証実験の事例のご説明もいただきました。世田谷区では上用賀のほか、野毛の旧官舎跡地の緑地化など、大きなプロジェクトも控えており、PSACEの活動、ポートランドからの学びをどう世田谷区に生かすのか?という期待値を込め?エールもいただいきました。

シンポジウムの最後に、新しく副会長に就任いただいた工学院大学 名誉教授の倉田先生から、PSACEがこの9月からの開催を予定している「ポートランドまちづくりスクール」のコンセプトをご説明させて頂きました。

ポートランドまちづくりスクールの説明

このスクールはまだ構想を練っているところですが、このポートランドの市民参加型のまちづくりがどのような歴史的背景や環境変化によって起きてきたのか全体像を理解して、世田谷ならびに日本の地域活性に活かしていこうとの試みで、1回3時間ほどの講義(オンラインも想定)を6回ほど、半年かけて実施する予定です。こちらに関しましてはまた詳細決まりましたら、改めてご案内させて頂きます。

またポートランド州立大学が実施を予定しているまちづくり人材プログラムJaLoGoMaのフライヤーはこちらからDLいただけます。

日本以上にまだまだコロナの影響が残り、そしてプロテストなどで平常とは異なる大変な時期にこうしてポートランドとつないで、そして前向きな取り組みを学べたことに感謝申し上げます。引き続き皆様と一緒にこれからの社会のあり方についてディスカッションしていきたいと思います。

事務局長
井上明紀