新潟県十日町市松代への棚田ツアー with ドーンさん

今回ご縁をいただき、10月30日〜31日の1泊で新潟県十日町市の松代に棚田や、そこに根付くグリーンコミュニティの視察に世田谷区みどり政策課に調査・研究に来られているドーン・ウチヤマさんと一緒に行ってきました。松代と世田谷区は古くから交流があり、区民祭での松代の産品の出店のほか、冬には雪を運んでの雪まつりや、最近では地熱発電所で作った電気の購入など、色々な交流があります。ただ昔からの交流も徐々に関係者の高齢化などに伴って、難しくなってきている側面もあります。そんな中、次の世代へこの交流の輪を伝えていこうと頑張っておられるのが用賀に住む金野とよ子さんで、今回は金野さんにお声がけいただき、この素晴らしい機会を得ることができました。金野さんは用賀周辺で採れた夏みかんを使って、この松代で作ったマーマーレードを各地で販売されています。最近は金賞なども受賞され入手困難なジャムとなっています。

<世田谷区と十日町市の電力提携について>

「世田谷区をもっと地球に優しい街に。自然エネルギー100%は省エネと再エネでこう実現する〜決定版〜」ゼロエミッション世田谷主催イベントでの保坂区長のプレゼン資料から
今回のツアーはいつもお世話になっているポートランド在住の柳澤恭行先生のご親戚が経営される中華料理店の昼食から始まりました。柳澤さんも十日町市のご出身です。

30日にドイツから松代に移住され古民家再生などを手掛けられているカール・ベンクスさんの古民家カフェ”渋い”にお伺いさせていただき、少しお話を伺うことができました。ベンクスさんは日本に古くからある古民家の価値に気付かず、取り壊してしまうことが非常に勿体無いと考えられ、限界集落であった竹所の倒れそうだった古民家をリノベーションされ、その後いくつも古民家をリノベーションされ、今はその集落に移り住む人が増えてきているという、素晴らしいきっかけを作っています。

ベンクスさんが作る村:竹所に点在する古民家。2021年現在、ベンクスさんが手掛けた古民家再生数は60軒になるそうで、今も多くの相談を受けているとのこと。

その後、有名な棚田である星峠の棚田を視察しました。ドーンさんもこの素晴らしい田園風景にとても感動されていました。

今回のツアーを企画してくれた金野とよ子さんと一緒に棚田をバックに。

夜は農家民泊をされている”松代おやっこ村”の富澤さんのお宅に泊まらせていただき、たまたま同じく宿泊されていた大地の芸術祭のアートを手掛けられる日芸の鞍掛先生と、また富澤さんのお孫さんと夜な夜な、色々なお話をさせていただきました。富澤さんからはグリーンインフラなどという言葉がなかった時代から、地域の治水にとても機能してきたリアル・グリーンインフラである棚田の重要性、そして里山が果たす役割、それをどう次世代に繋いで行くか、地域の小学生に実際に見て・触って・体験して学んでもらう総合学習の取組のお話しなどしていただきました。ドーンさんも普段、世田谷などの都市部に居ては聞けない貴重なお話に深く共感を得られていました。

*”おやっこ”は”親戚”という意味を持つ方言だそうです。

宿泊のお世話になった富澤さんと。

翌31日は早朝暗いうちから起きて、雲海を期待して蒲生の棚田に行きました。残念ながら完全な雲海は見れませんでしたが、朝靄がかかる中、綺麗な日の出も見ることができて、自然の美しさに圧倒されました。

蒲生の棚田を眺めて

その後、おやっこ村さんが運営される地元の農家さん達が作った野菜を持ち寄り、地域の方や私たちの様に訪れている観光客が立ち寄る朝市に参加してきました。農家さんも買いに来る客もひっきりなしに入れ替わり、農家さんごとに持ってくる野菜も違うので、また新しい野菜をもとめて買いに戻る、っということもたびたび。。週4回、11月の中頃まで続くそうですが、80代の農家さんが元気に野菜を持ってくる風景に、地元の力強さを感じました。

リアル・ファーマーズマーケット

最後は、東京で外資系企業で長らく第一線で働かれていた阿久澤さんが海外赴任のあと、偶然訪れた松代で棚田の原風景に感動され、その後、棚田フリークとして日本中の棚田を見て周り、最終的にこの松代に立ち上げられたゲストハウス”トノロキハウス”に訪問してお話をさせていただきました。阿久澤さんは昔の同僚や、都会で疲れた人たちにぜひこのトノロキハウスにきて、滞在して実際に手を動かして棚田で汗水流してリフレッシュしてもらう”棚田セラピー”を広めていきたいとビジョンを語って頂きました。

トノロキハウスとその目の前の畑。ちょうど土づくりをしているところでした。
阿久澤さんと金野さん、ドーンさんと記念写真。ドーンさんもこちらのスローライフにとても興味を持たれていました。

今回は本当に急にご縁をいただき、色々な方にご好意をいただき、多くの方とお会いしてお話をさせて頂くことができました。ドーンさんは常々、今は色々な分断や対話への課題があり、人々が孤立してしまっていると言っておられます。ただその中でも日本は日本人が気づいていないが、とてもよくコミュニティを持続できているので、今回の数ヶ月にわたるフェローシップでの研究期間中に多くのことを吸収して、ポートランドに持ち帰って、現地のグリーンコミュニティの再生に役立てたいをお話しされています。今回も非常に多くの気付き・学びがあったようで、日本の里山、野良、農家さんの知恵や歴史など、本当に感動されていました。ぜひこの繋がりをより太く、そして有意義なものにしていければと願っています。

事務局
井上